7章を端的に纏めると、失敗による自信喪失で行動が取れなくなった人に対しての処方箋が纏められている。筆者の言葉を借りるならば『成功の螺旋階段』を上らせるための仕組みを纏めている章になる。
この文章の中で印象に残った箇所は5つある。
【1つ目】
取り組みやすい課題から始めて、少しずつ順を追って進歩していくようにすること。そして、意思がくじけそうになる大きな課題を小分けにして、手に負える範囲のものにすることだ。
172ページより引用
勉強に躓いている子供達に勉強を教える時も全く同じ事だ。
数学の知識が全くない生徒に連立方程式の問題がいきなり解けるようには出来ない。
まずは中1の数学の正負の数の計算が正確に出来ているのかを確認しなければいけないし、その前に公倍数の確認をしなければいけないかもしれない。
大きな山を一気に登るのではなく、小さな階段に分けていかなければならない。
この階段の歩幅は生徒によってそれぞれ異なる。
段差の1つ1つが大きくても越えられる生徒がいる一方で、かなり細かく段差を設定しなければいけない生徒もいる。
その段差を一段一段登らせていく事、登れそうにない山はそうやって細分化して自分が登れる高さまで分けていく。この作業は勉強に限った話ではない。将来、仕事をする時にも必ず役にたつ経験になるはず。
課題の細分化を常に意識させなければ。
【2つ目】
「努力すればいい事が起きる」と思うようになるためには、積極的な後押しが必要だ。一般的に、そういう後押しは、みじかに接する人やお手本となる人物を通じて得られる。特に思春期以降は、同世代の仲間グループの影響がきわめて大きい。好ましくない仲間とつき合えば、足を引っ張られるが、好ましい仲間とつき合い、仲間の成功を目の当たりにすれば、「私にもできるはず!」と思える。
176ページより引用
やはり周りにいる人間の影響というのも大きいですね。
好ましくない仲間と付き合い負の螺旋階段に落ちていく生徒は、それなりの数を見てきた。
仲間を大事にする事は、褒められるべき事だが明らかに間違った関係性になっている子供達が一定数いる。
これは、半グレと呼ばれるような集団に限った話ではない。
何事にも斜に構えて、一生懸命する人を小馬鹿にするような奴らもいる。
どうせ学校の行事なんて〜、でサボる口実を勝手に作る奴らも全く同じだ。
だけど、思春期以降の子供達が所属する集団は、やはりその子供の性格や気質を反映しているような気がする。
めんどくさがりな人の周りには似たような人が集まるし、一生懸命頑張る子の周りには一生懸命頑張る人達が集まりやすい。
幼少期から、どのような価値観を育んでいく事が重要だと言えるだろう。
【3つ目】
最も成果が上がらないのは、明るい未来を思い描くことだけをしている人たちだった。
180ページより引用
そりゃそうだ。
行動に移さなければ、結果も未来も変わることはない。
絵に描いた餅、という言葉が最もしっくりくるね。
【4つ目】
「100グラムの予防措置は一キロの事後対策と同じ価値がある」
184ページより引用
これは胸に刻まなければいけない言葉です。
失敗を具体的に想定して対応策を用意しておくことは非常に重要だ。
僕自身は、この失敗を具体的に想定する事が苦手である。
だから、その部分の力をつけていく必要がある。
【5つ目】
生活態度を大幅に、あるいは短期間に、あるいは容易に転換できるという過剰な自信をいだくと、成功の確率が下がる。
185ページより引用
簡単に変わる癖なら、癖になっていないんだよね。
簡単に変えられないから癖なんだよ。
だから一回失敗した程度でダメだと思ってはいけないし、その失敗もどこまで成功出来たのか、次の挑戦に向けて、どのような準備をするのかを考えなければいけない。
これは同時に指導する側の僕達も胸に刻まなければいけないね。
簡単に変わるような、習慣付くようなものはないと。だから一回伝えてダメでも。2回目3回目と伝え続けなければいけない。
繰り返し伝える事は、伝える側には大きなストレスになるが、そこは教育に携わる人間の避けては通れない義務ですね。
以上が7章の感想でした。